top of page
執筆者の写真TOMOCHI COFFEE

2022年ご愛顧いただきありがとうございました

 



 2022年、本年も当店のコーヒーをお求めいただき誠にありがとうございました。


 当店の風味づくりは、焙煎機の性能改良によってもたらされるところが、いつの間にか基礎となっていました。


 風味を向上させる方法には、熱の加え方などの焙煎条件にバリエーションをもたせるという方法もありますが、それはあくまでも原材料ごとに調整した、いわば“テクニック”であり、焙煎機の限界・性能をやや超えた領域の味は、偶発的に出てしまうことはあっても安定して出すということが難しい場合がままあります。


 そういうことから、製造設備として最初から“高性能な焙煎機”を導入すればそれで済むはなしなのかもしれません。しかし、これは結果論であり、焙煎機導入時には経験的にも知識的にも資金的にも、そのときに“これ”と思った焙煎機を導入したというだけで、今となってみればという話です。自動車購入にたとえれば、はじめて買う車はただ走ればいいと思いとりあえず買ったけど、乗ってるうちにレースがやりたくなりタイヤ、サスペンション、エンジンなど手を加えていってレースできるようにした…というようなことに似てると思います。最初からレース用の自動車を買えば済むというのは結果的に、です。そして、そのレース車に仕立てていく過程で徐々に速く走れるようになっていくという楽しみこそが日々の活動の原動力にもなります。


 当店における焙煎機の存在も同様で、導入した焙煎機を使って日々焙煎・味見を繰り返し、性能の壁のようなものを感じ、熱力学的・流体力学的にモデルを立てて検証する。そこから独自に改良をしていくことで風味向上を実現させる。この“過程”そのものとその“積上げること”が当店のしごとを豊かなものにしてくれていることの一つとなっています。


 この2022年は焙煎機の基本性能の大幅な更新と検証が完了したことで“風味”が飛躍的に向上・安定し、焙煎をはじめてからの5年間に思いをは馳せることが多かったしみじみとした1年になりました。作り手としても満足感の高い商品が安定してできるようになりました。


 その一方でコーヒー焙煎に終点というものはないように感じてもいます。求道的な取り組みをする、いわゆる終わりのないことに取り組む人からしばしば「満足したらおしまい」というフレーズを聞いたりもしますが、当店の焙煎するコーヒー豆に心から満足できる1年になりました。しかし、現時点での満足・不満足にかかわらず「まだ知らない領域を見てみたい」という好奇心がある限り進化できるのではないかと思っております。


 新しい年「2023年」は焙煎機の改造は継続するにしても大幅更新の予定はなく、どちらかというと店舗としての取り組み方を、いまの延長線上に見据えるのか、それとも少し方向性を変化させるのか見直すところから始めるようになりそうな気がしています。


 新年は、1月9日(月)11:00~16:00 [短縮営業]から営業を開始いたします。よろしくお願いいたします。良いお年をお迎えください。


---

2021年 「本年もご愛顧いただきありがとうございました」

2020年 「今年も1年間ありがとうございました」

---

Comments


bottom of page