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執筆者の写真TOMOCHI COFFEE

実験:ハンドドリップ1投目、2投目、3投目の味


 今日は、ハンドドリップするときの参考にできそうな実験をご紹介したいと思います。



 多くの方が、ハンドドリップで何回かに分けてお湯を注いでいらっしゃると思います。そのとき、1投目、2投目、3投目、…と各投目で特に何も意識せず感覚で注湯している方がほとんどではないかと思います。


 この時、もし「いまこんな味が抽出されている」とイメージしながらお湯を注げれば、投入する湯量や速度をコントロールすることで味づくりしやすいのではないかと思いましたので、「こんな味見のしかたをしてみました」というご紹介です。


 ご家庭でも簡単にできると思いますので、ご興味ある方は試してみてください。




 まずは、準備です。


 3投で淹れきれるお湯と豆を用意します。豆14g、お湯は約140mL程度抽出しますので300mLもあれば十分だと思います。そして、1~3投目を個別に取り分けるための容器を3つ用意して、ドリッパーをすぐ横に移せるように横並びにします。図1がセッティングした様子です。ここではドリップスタンドを使用していますが、無くてもドリッパーを持ち上げて横に移動するという作業で十分です。


 また、今回使用したドリッパーはハリオのV60ですが、これは普段使っているドリッパーをお使いください。普段お使いのものの方が味くらべしやすいと思います。

 ちなみにV60の特徴は、カリタの3つ穴よりもコクが弱めで、酸味や香りを味わうのに適していると感じています。当店ではテイクアウトドリンクの提供はカリタ、焙煎後の風味チェックやお客様への試飲提供はハリオV60を使用しています。


 今回の実験で使用した豆は、エチオピア イルガチェフェ G-1ナチュラル ゲデブ・ウリを使用しました。中深煎りのため苦み、酸味、甘みがバランスよく含まれており、香りが特徴的で味の評価をしやすいため選びました。


図1 1投目、2投目、3投目の実験準備


それでは、抽出を開始します。


まず1投目です(図2)

抽出液は非常に濃いです。

図2 1投目…かなり濃い液体が


そして2投目(図3)。

1投目の濃さと比べると一気に薄い色になりました。

光が透けています。

図3 2投目...光が透けるほど薄い液体に


最後に3投目(図4)。

さらに薄い色になってます。

写真では2投目と同じように見えますが、2者のちがいは一目瞭然です。

図4 3投目...2投目よりもわずかに薄い色に





 さて、あらためて色濃度について見てみたいと思います。



 上からと横からの撮影。背景に白紙でも置けば色味がわかりやすかったと思いますが、今回は忘れてしまいました。



 それでは試飲してみます。


【1投目の抽出液】クリアなエスプレッソという感じで、非常に濃くて力強いです。フルーティで酸味は強めに感じます。味が強い中にも甘みを感じます。また鼻から抜けるアロマも強く、3投の中でいちばん豆の特徴を感じることができます。注意点は、かなり強い液体ですのでなめるように飲んで下さい。


【2投目の抽出液】1投目に比べるとかなり薄いです。普通に抽出したコーヒーよりも薄い味に感じます。ただし、苦みを強く感じます。苦い中にも甘みも感じます。


【3投目の抽出液】3つのうちでもっとも味が薄いのですが、ハト麦茶のような香ばしくやさしい甘みを感じます。印象としては濃い目の紅茶といった感じです。




 そして、これらの抽出液を使って抽出過程を再現します。


【1投目+2投目】1投目の抽出液に2投目を加えます。つまり、2投目を淹れ終えた時点での味です。普通に抽出したコーヒーのバランスに非常に近いのですが、味が薄めの2投目を足したとはいえ、まだまだ濃く飲みづらさはあります。1投目のクリアな印象は残ってます。


【1投目+2投目+3投目】いつも飲んでいるコーヒーということになります。3投目に感じた甘みは特に余韻で感じます。



以上の実験から「ハンドドリップでは何をしているのか」というと、

 ・1投目は完成した飲み物「1杯のコーヒー」のベースとなる原液を抽出している。

 ・2投目は苦みを抽出しつつ1投目の濃度調整の役割を果たしている。

 ・3投目は香ばしさや甘みを伴った液体で濃度調整をしている。


 どの工程も大切ではあるとは思いますが、やはり抽出する「1杯のコーヒー」の根幹をなす第1投目が非常に重要と考えられます。



 今回はエチオピアの豆で実験してみましたが、深煎りコーヒーだとどうなるのか、挽目を変えるとどうなるのか、お湯の温度を変えるとどうなるのか、抽湯スピードを変えるとどうなるかなど、いろいろとバリエーションがあると思います。


 こんなことを実際に体験することで、抽出されている味をイメージしやすくなり、自分の好きなコーヒーに近づけるための道しるべになるのではないかと思います。

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